The Digital Cataloger

インターネット時代の図書館目録

Vol.3 第2節 図書館目録とはなにか?

前回は、「何らかの代替物が目録である」というおハナシをしました。

図書館の場合は、当然、その図書館の本の代替物が「図書館目録」になる訳ですが、こと「図書館目録」といった場合は、タイトルや著者等の本自体についての情報(「書誌」といいます)と、その本がどこにあるのか(「所蔵情報」といったりします)が一体になっているモノ、つまり、

書誌 + 所蔵情報 = 図書館目録

と定義されています。

「書誌」というのは、上に書いた本のタイトルやその本を書いたヒト等のほか、その本の出版者(多くの場合、著者とは違います。また、図書館の場合、会社に限らないので、「出版社」ではなく「出版者」と書きます)、出版された年(月)、本の大きさやページ数等、たとえどの図書館にあっても、その本自体に共通している情報をまとめたデータのコトをいいます。
(おいおい書きますが、図書館が扱う書誌の場合には、この他に「件名」や「分類記号」が付与されています)

このように、1冊1冊の本についての情報を「書誌(データ)」といいますが、所蔵情報(本の場所)の記載はなく、「世の中にはこんな本がありますよ」という書誌だけが掲載された一覧(リスト)も「書誌」(bibliogla)といって、いわゆる目録とは区別されます。

わかりやすい例では、ある作家さんの著作リストのようなモノですが、その場合、えてしてタイトルに「目録」とついていたりして、ややこしいのですが……

また、ひとつの図書館だけの情報ではなく、複数館の図書館に渡って、どの本が、どの図書館にあるというコトが分かる図書館目録もあって、これは、一般的に「総合目録」といわれます。
(さらに、図書館目録ではありませんが、所蔵場所をある書店と考えれば、「販売目録」と言われるモノもあり、いわゆる「古書目録」もここに入ると思います)

さて、いろいろ見てきましたが、ここまでは、あくまでも抽象的な意味での図書館目録です。
具体的にみなさんが利用される図書館目録といえば、ある世代は、現在のパソコンに向かって検索する目録しか思いつかないでしょうし、(ボクを含めた)一定の年齢以上の方は、引き出しに並んだカードこそ、図書館目録だと思いますよね(ちなみに、今、図書館実習にくる大学生に聞いてみると、カード目録は全く見たコトがないそうです……)。

それより以前の、さらに素朴な図書館目録は、その図書館にある本を、1冊ずつノートのようなモノに順番に書いていたモノだと思いますが(このように、本のカタチをしている図書館目録を「冊子体目録」といったりします)、いずれにせよ、本だろうがカードだろうが電子だろうが、そのカタチや材質は変わっても、「本の情報+場所の情報が図書館目録だ」という原則は変わりません。

なお、代替としての目録という意味でいえば、カード目録までは、元の本よりはかなりマシとはいえ、それでも本を代替している物体が実際にあり、それなりのスペースをとっていましたが(そして、本の増加と共に増えてきいきます)、現在のコンピュータ目録では、目録を利用するためのパソコンやスマホは必要なモノの、目録本体は電子になってしまい、ほとんど場所をとりません。
というか、目録自体を触るコトすらできません。

そういう意味では、図書館の場合、目録はモノとしても抽象的になったといえそうです。

つづく
※なお、カタチとしての目録については、コラム目録の小部屋 目録の「カタチ」もご覧ください。

Vol.2 第1節 目録とはなにか?

みなさんは、「目録」というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

ボクが「目録」という言葉を初めて意識したのは、子どもの頃、「家族対抗歌合戦」という番組があり(実にのどかな時代ですね(笑))、その中で、優勝したチームが好きな商品をもらうのですが、当時人気だった冷蔵庫等はその商品自体が大きく、その場では直接渡せないので、司会の欽ちゃんが、

「目録を贈呈します!」

と言って、優勝チームの代表者に「目録」と書かれたご祝儀袋(?)を手渡していたシーンです。

つまり、そのモノ自体ではなく、その「代替」となるモノが「目録」という訳です。

まぁ、それでも日本語だと、普段あまり使わない言葉なのでもうひとつピンときませんが、英語でいうと、目録は「Catalog(ue)」。
そう、こちらは普段の会話でも出てくる、あの「カタログ」です。

カタログといえばいろいろありますが、例えば、通販のカタログの場合。
膨大な商品の全てを家に持ってきてみる訳にはいかないですし、もし、できたとしても、かえって選ぶのが大変なので、代替物である写真や説明文等を並べて通覧や検索をしやすくしたもの、それがカタログ(目録)です。
(お店のメニューなんかもそうですね)

このように、目録は、なんらかの理由で、あるモノを別のモノで代用するのですから、

・元のモノより可能な限り少ない情報で
・いかに元のモノの特徴や性質を正確に分かるようにするか

が非常に重要なポイントになる訳です。

さて、この連載で扱うのは、目録の中でも、特に「図書館目録」(Library Catalog)な訳ですが、これも目録である以上、元の膨大な本をなんらかのカタチで代替して、通覧・検索しやすくしたモノという意味では、全く他の目録と同じです。

ただ、その代替の仕方がいろいろあります。
その方法によって、みなさんが「図書館目録」といって、それぞれ想像されるいろんなカタチ(外的にも内的にも)になる訳です。

次回からは、それらを少しずつ見ていきたいと思います。
(こんな調子では、一体、いつまでかかるコトやら……(笑))

【つづく】

Vol.1 はじめに

突然ですが、今回から、目録に関する連載を始めたいと思います。
よろしくお願いいたします。

さて、今、みなさんが、何かの理由である本が読みたくなったり必要になった場合、まず、どのような行動をとるでしょうか?

おそらく、Google(を含む検索エンジン)や、Amazonを検索するのではないでしょうか。

つまり、本の検索に特化した図書系の目録データベースではなく、他のインターネット上の情報や、本以外の商品までも含むデータベースで検索するという訳です。

そして、運良く探している本がヒットしたら(大抵、見つかります)、おそらく、その結果から貼られているリンクをたどって、その場で注文するかもしれないですし、モノによっては、電子書籍版を即座にダウンロードするかもしれません。

いずれにしても、そのように、現時点で入手可能な本であれば、そこで問題は解決します(もちろん、手持ちの資金があればですが)。

しかし、すでに絶版等の理由で在庫がなかったり、そもそも、書店での取り扱いがない本の場合は、どうでしょう?

この場にいたって、みなさん初めて近所の図書館や大学図書館のWebサイトにいくのではないでしょうか。

しかし、今度は、別の問題が。

たまに使ってみればお分かりだと思いますが、他の検索エンジンと違って、図書館の目録データベース(OPACオーパック、オパック)。インターネット上で提供されているOPACを、特にWeb-OPACと言う場合もあります)は、とにかく、圧倒的に使いにくい。
なんでも思いついたコトバを入れればどうにかなる検索エンジンと違い、そもそも、ちゃんとした使い方がよく分からないし、間違いなくあるはずの本ですらヒットしないコトもある。

なにせOPACは、たった一文字間違っているだけでヒットしませんし(『安倍公房全集』を『安部公房全集』と入力したらアウトです)、項目によっては、統制語(おいおい出てきます)で管理されているため、検索エンジンのように好きな言葉(統制語に対して自然語という)を入れて検索するコトもできません(というか、相手にしてくれません)。

だから、本を探すのは、本来なら図書館の"独壇場""専売特許"のはずなのに、今では、完全に検索エンジンの後塵を拝していますし、なんなら、図書館の職員まで、本のデータの確認に検索エンジンを使うようになっているのです。

なぜ、こんなことになってしまったのでしょう?
図書館の目録は、まったく使いモノにならないのでしょうか?

いや、そんなことはない(はず)です。

図書館のOPACが現在のようになったのには、それなりの理由がありますし、また、他の検索エンジンにはない長所もあります(あるはずです)。

実際に図書館の中のヒトになってみると分かりますが、ボクなんかが足元にも及ばない(というか、比べることすら失礼な)優秀な方々が、非常にまじめに、丁寧かつ真摯に、日々、よりよい図書館目録を構築するために努力されています。
ただ、いろんな意味で、インターネットが登場する以前の図書館目録をそのまま引きずっているというきらいはあるかもしれません。

それでもまだ、それが、図書館の世界にとどまっている間はそれでよかったかもしれませんが、現在のように、他の電子情報と一緒に図書館のデータも使われるようになってくると、そうも言ってられません。
図書館目録が、インターネットという白日にさらされるコトで、その前近代性(?)があらわになってしまったのです。

現在は、図書館界でも、その反省に立ち、改めてインターネット時代に対応した図書館目録を構築していこうという動きはありますが、その成果がみなさんの目に見える形で明らかになるのは、もう少し先になるような気がします。

そこで、それまでの間、図書館の目録がどうしてこのような姿になったか、また、どんな仕組みになっているかを知れば、納得はできなくても(笑)、使い方のヒントにはなるでしょうし、もしかしたら、少しは目録を好きになるかもしれません。

この連載では、図書館目録というモノの概要を知っていただき、知らなかったコトによる不便や誤解を少しでも解消していただき、最終的にみなさんの資料探しのお役に立てれば、これ以上の喜びはありません。

あなたのお探しの本は、わざわざ隣町の大きな書店に行ったり、Amazonから郵送される数日を待たなくても、実は、歩いて行ける近所の図書館にあるかもしれないのです。

つづく

動向3題

「図書分類と図書系統:図書館総合展〈分類フォーラム〉での議論から」 - leeswijzer: boeken annex van dagboek

つながる目録、つながるサービス@図書館総合展(2015.11.12)

ResourceSync:OAI-PMHの後継規格(情報組織化研究グループ月例研究会)

新しい『日本目録規則』(新NCR)

新しい『日本目録規則』(新NCR)|国立国会図書館―National Diet Library

ついに、出ました。

それにしても、現在のNCRから、項目立てからして、全くの別物。

この間の動きをフォローしていなかったカタロガには、ちょっとシンドいか……
(オレ?)

メタデータ・ライブラリアン

CA1855 - 北米のメタデータ・ライブラリアンシップ事情 / 芝 麻子 | カレントアウェアネス・ポータル

自分としては、「デジタル・カタロガ」て気に入っているのですが(笑)、一般的には、メタデータ・ライブラリアン」の方が通りが良いですよね。

いずれにしても、カタロガとしては、必読。

NDCをめぐって

TSUTAYA管理の海老名市立中央図書館を観察してきた: 松浦晋也のL/D

海老名市中央図書館の謎分類メモ #公設ツタヤ問題 #海老名分類 - Togetterまとめ

図書館での「分類」の意味と司書の専門性について。 - Togetterまとめ

常に、「もっと良くなるはずだ、もっと便利になるはずだ」という思いで新しいコトに挑戦しなければ、いつまで経ってもイノベーションブレイクスルーは起こりません。

ただ、後で振り返ると非常に評価されるようなコトでも、大抵、人々の不安誤解から、当初は強い批判にさらされるのが常です。
なので、それを恐れずに何かを始めるというのは、とても勇敢で、価値のあるコトだと思います。

しかし同時に、その場合大切なのは、稲盛和夫さんがいうトコロの、「動機は善なりや、私心なかりしか」というコトだと思います。

人々は敏感なので、たとえ、利用者のためと思って始められたコトでも、そこにわずかでも「私心」の臭いがあれば、拒絶反応が起こります。

逆に、本当にそれがないのであれば、いつかは分かってもらえると思うのですが……

というコトで、同じくNDC絡みで、別媒体に載ったこちらも再掲。

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